人材アセスメントとは、専門家が科学的見地に基づき客観的に社員の能力や特性を測定する人事マネジメント手法です。
「変革型リーダー」選抜アセスメントは、企業の変革を担うリーダーを選抜するための人材アセスメントツールです。
変革型リーダーとは以下の3つの行動を可能とする人物を指します。
- 組織の目指すべき姿を描き、実現のための具体的な戦略を策定することができる
- 目標に向けて周囲を動かし、組織的に変革を推進する体制を整えることができる
- 変革に対する阻害要因を取り除き、周囲に変革意識を浸透させることができる
「変革型リーダー」選抜アセスメントの必要性
多くの企業がリーダー人材の選抜に外部の専門機関によるアセスメントを導入しています。その理由は次の通りです。
まず、社内で行われる人事考課は、あくまでの日常業務における仕事の出来映えであり、人事考課による評点の高さが必ずしもリーダー人材の適性の高さを保証するものではありません。既存事業で人事考課の高い人材でも、これまでとは異なる環境のもとでは期待されたパフォーマンスを十分発揮できないケースが少なくありません。
リーダー人材としての適性や資質を備えているかどうかは、既存業務におけるパフォーマンスではなく、直面する状況における行動や判断から推察を行う必要があるのです。その点でアセスメントは擬似的な場面においてリーダー候補者のポテンシャルを発露させることが可能であり、ひとつの有効な判断情報となりえます。
また、リーダー候補者の早期選抜が以前よりも重要視される中、人事考課の結果だけでは社員の納得感を得られず、早期選抜から漏れた多くの社員のモチベーションを低下させる可能性が高まっていることも考慮する必要があります。
統一条件のもとで、外部の専門アセッサーによって下された判定は、リーダー候補者たちの結果に対する納得感の醸成という点からも有益と言えます。
クレイア・コンサルティングが提供する「変革型リーダー選抜アセスメント」の特長
当アセスメントのサービス概要は以下の通りです。
- 主な対象:
- 将来の経営幹部候補となる人材(管理職層が中心)
- 基本ツール:
- 「戦略演習」「行動記述」「自己診断」の3種類
- 実施時間:
- 約4時間 ※事前説明・休憩時間を除く
- その他:
- 集団討議・個人面談をオプションとして組み合わせることが可能 ※費用は別途見積
また、クレイア・コンサルティングが提供する変革型リーダー選抜アセスメントは、より効果的にリーダーを選抜していくために、いくつかの工夫を取り入れています。
1. 変革に必要なコンピテンシーを過去のコンサルティングの知見から抽出
第一の特長は、過去のコンサルティングの知見から、組織変革に必要となるコンピテンシーを抽出していることです。
【変革型リーダー選抜アセスメントの測定項目】
クレイア・コンサルティングでは変革型リーダーを、以下のように定義しています。
- 組織の目指すべき姿を描き、実現のための具体的な戦略を策定することができる
- 目標に向けて周囲を動かし、組織的に変革を推進する体制を整えることができる
- 変革に対する阻害要因を取り除き、周囲に変革意識を浸透させることができる
こうしたリーダーを選抜していくために、本アセスメントでは、数多くの組織変革コンサルティングを成功させてきたノウハウにもとづいて実践的な組織変革のプロセスを設定し、各ステップで求められる15の変革コンピテンシーを抽出しています。そのため、一般的・教科書的なコンピテンシー分類に基づくアセスメントよりもはるかに実践的な結果を得ることが可能です。
また、必要に応じて、各社で利用している評価項目(コンピテンシーや能力項目等)とクレイア・コンサルティングの変革コンピテンシーの紐付を行います。
2. 変革に必要なコンピテンシーの発揮を促す実践的な場面とビジネス環境にあわせた設問を設定
第二の特長は、演習のなかで実戦的な場面と最新のビジネス環境に合わせた設問を設定している点です。
【変革コンピテンシー発揮を促す場面の設定】
変革コンピテンシーを診断するためには、変革コンピテンシーの発揮を促す場面を設定することが重要です。
本アセスメントでは、実戦的な演習を通じて対象者の変革コンピテンシーを強制的に引き出し、その保有状況を診断することで、変革型リーダーとしての資質を有している人材を発掘することを可能にしています。
例えば、変革型リーダーとして職務遂行しなければならない様々な場面を設定し、対象者がその場面に相応しいと考える言動を記述させる演習があります。この演習は設問ごとに回答時間が決められているため、即座に対応しなければならない場面において対象者が適切な能力を備えているかどうかを診断できます。
さらにアセスメントを進化させ、アセスメントの設問場面として、リーダー人材が直面する最新のビジネス環境を反映(*1)し、診断基準も時代にビジネス環境下でリーダー人材に特に強く求められる要素を盛り込んでいます(*2)。
(*1)不祥事が発生した場面でのリーダーの対応行動を問う設問
(*2)対象は、「ビジョン構築力」「外部指向性」「多様性重視」「革新性」
3. 記述式による独自の判定
第三の特長は、選択式ではなく記述式回答を採用している点です。
【アセスメントツールの設問イメージ】
記述式にすることで、評価対象者は具体的な内容、例えば「実際にどのような行動をとるか」といった事柄を記載しなければなりません。そうすることにより、対象者の多様な回答を引き出せ、採点者は回答を様々な角度から測定することができます。
場当たり的に回答を選ぶという選択式では可能な行為が抑制され、記述式の回答では本人の意思が明確に表れていると考えられるため、信頼性の高い結果を得ることが可能になります。
回答結果の測定は、クレイア・コンサルティングの専門アセッサーが回答内容一つひとつチェックし、採点基準に基づいて採点を行っています。
記述式にすることで、評価対象者に具体的な内容、例えば「実際にどのような行動をとるか」といった事柄を記載させることができます。このようにオープンな設問に対しては多様な回答が発現することとなり、採点する側も回答を様々な角度から測定することができます。また、場当たり的に回答を選ぶという選択式では、可能な行為が抑制されるため、記述式の回答には本人の意思が明確に表れていると考えられ、信頼性の高い結果を得ることが可能です。
そして、回答結果を測定する際には、クレイア・コンサルティングの専門アセッサーが各回答の内容一つひとつをチェックし、採点基準に基づいて採点を行っています。
4. 選抜に適した詳細なフィードバックを実施
第四の特長は、人材選抜に関わる意思決定を支援できる詳細なフィードバックレポートを提供している点です。
【フィードバックレポート】
アセスメントの結果は、全体レポートと個別レポートの2種類で構成されています。
全体レポートは、会社全体のスコア一覧表やスコアの度数分布、強み・弱みの一覧表で構成され、アセスメント結果の全体傾向が把握できるようになっています。
個別レポートは、社員個々人のコンピテンシー・プロフィールを詳細に確認できるようになっており、対象者の強み・弱みに関するアドバイスも記載しています。
5.オンラインの実施で状況に合わせて柔軟に対応
当アセスメントは、受験者の対象層をより広げられるように、個社・受験者の状況に応じて在宅勤務でも受験できるように、オンラインで診断が可能です。
※従来の集合形式(会場に集合して紙で受験)で実施も可。
【オンラインアセスメントの流れ】
変革型リーダー選抜アセスメント実施の流れ
変革型リーダー選抜アセスメントの一般的な流れを説明します。
1. 人材アセスメントの設計
当アセスメントは、戦略演習行動記述自己診断の3つのツールから構成されており、変革に必要な全てのコンピテンシーの保有状況を診断します。
変革の初期から施策の遂行段階まで、一気通貫して変革を推進することが出来るか否かを確認することができます。
さらに、「個人面接」「集団討議」の2つのオプションをご用意しております。
記述による個人ワークに加えて個人面接や集団討議を行うことで、候補者が実際に相手に与える印象や発言内容、相手の言動に対する反応等、 候補者のコンピテンシー発揮場面を直接確認することができ、より確実に変革型リーダーとしての適性を見極めることができます。
その他、必要に応じて特に細かく診たい要素を2つ以上のコンピテンシーに分割して評価したり、会社独自のコンピテンシーを追加したりといった調整を行います。コンピテンシーの見直しに合わせて演習ツールも見直します。
毎年、あるいは隔年で継続して使用する際は、過去の受験者から情報が漏れる可能性を考慮し、年度毎に新たな演習内容を作成し、回答パターンを変更するなどの調整を行います。
2. アセスメント記述演習の実施
「戦略演習」「行動記述」「自己診断」の3つのツールで記述試験を実施していただきます。
戦略演習
設定された架空の企業のケースを読み、現場のリーダーの立場に立って各設問に回答します。主に、「状況把握力」「ビジョン策定力」「エンパワーメント」などのコンピテンシーを診断します。
行動記述
変革型リーダーが直面するさまざまな場面が設定されており、各場面に相応しいと考える言動を記述していただきます。設問ごとに回答時間が決められており、迅速な対応が要求される現実のビジネスと同じような状態で対象者の回答を引き出します。
主に、「外部志向性」「多様性重視」「革新性」などのコンピテンシーを診断します。
自己診断
15項目の変革コンピテンシーについて設問を用意し、変革コンピテンシーに関わる典型的な行動例について自己診断を行います。
3.個人面接の実施(オプション)
個人面接は、コンサルタントがアセッサー(評価者)として候補者と1対1で面接を行います。過去、困難な状況に直面した際に選択した行動やその背景にある考え方などを確認し、コンピテンシーの保有状況を診断します。
面接の方法は基本的に、標準的な質問項目も設定しておく一方で、会話の流れに応じ、質問の変更や追加を行い、自由な反応を引き出す「半構造化面接法」を採用し、対象者の発言を通じて行動の意図を確認、行動の深掘りを行います。
個人面接では、対象者の発言内容に対し、評価者がリアルタイムでその意図を確認することができるため、コンピテンシー判定のための情報を豊富に収集できるという利点があります。
4.集団討議の実施(オプション)
変革の必要に迫られ、さまざまな課題を抱える企業のケーススタディを題材として取り上げ、リーダーを定めずグループディスカッションを実施します。ディスカッション中の言動をコンサルタント(アセッサー)が観察し、該当するコンピテンシーの保有度を測定します。
集団討議では、対象者が実際にコンピテンシーを発揮する場面をより具体的に観察することが可能です。例えば、他のメンバーにどのように働きかけ、自分の意見をどのように通すのかといった点を現実の対象者の行動から測定します。
5. 測定・評価・フィードバックの作成
記述試験、個人面接、集団討議の結果を集計し、コンピテンシーを測定します。測定結果はフィードバックレポートにまとめ、提出します。
フィードバックレポートは、会社全体の傾向を記載した全体レポートと、各社員の保有コンピテンシーを記載した個人別レポート(本人用と会社用)を作成します。
全体レポートは、全体スコア一覧表やスコアの度数分布、強み・弱みの一覧表で構成され、アセスメント結果の全体傾向が把握できるようになっています。
個別レポートでは、個々の社員が将来必要となるコンピテンシーの項目や、強み・弱みの一覧を記載しています。また、対象社員が今後経験することが望ましい業務や自己啓発に関するアドバイスも記載しており、社員自身による成長を促します。
必要に応じて、各社のコンピテンシーの保有状況などを元に、今後必要となる人材開発/育成施策に対して提言する場合もあります。