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2章 日米の「人事制度」を再点検する⑧

クレイア・コンサルティング 2017.9.13

米国型マネジメントを可能にするシステムとは?

職務グレード制度に関連するサブシステムには、以下のようなものがあります。
職務グレード制度に関連するサブシステムグレード
①評価制度
②賃金制度
③福利厚生制度
では、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
①評価制度 これは、「業績評価」が基本です。職務記述書には、「アウトプットすべき成果」や「業績評価基準」が定義されており、業績評価はそれを基準に行われます。 なお、処遇決定に影響を与える評価結果は、必ず本人にフィードバックしなければなりません。フィードバックをしなければ、「差別があったのではないか」という理由で、企業が訴えられる可能性があるからです。 日本企業においては、評価のフィードバックはまだまだ徹底されておらず、フィードバックが行われている企業でも、その目的を「被評価者の能力開発のため」としている場合が多いようです。
②賃金制度 賃金は、職務グレードに応じて決まる「職務給」を基本としています。 原則として「職務が変わらなければ昇給はしない」という考え方をとりますが、実際には、業績評価に応じて一定程度昇給します。また、ブルーカラーの場合には、勤続年数(年齢ではない)に応じた昇給もあります。ただし、職務が変わらなければ、昇給は早晩頭打ちになります。 業績に応じたゲインシェアリングインセンティブもありますが、日本の賞与のように一般化しているわけではありません。 全社員に支給される日本企業の賞与は、「業績に応じた人件費の変動弁」である米国企業のゲインシェアリングやインセンティブと比較すると、その要素を含んでいるものの、明らかに固定費的な要素が強くなります。 また、ゲインシェアリングやインセンティブを支給する職種は限定されています。すなわち、「儲かったら全社員に配分」するという考え方はむしろ不公平であり、「“儲け”に貢献した社員にのみ配分する」という考え方が一般的です。
③福利厚生制度 福利厚生は、人件費において大きなウエイトを占めていますが、そのほとんどは医療保険などの「社会保障」の項目です。これは、社会保障の仕組みの大部分を、国ではなく、企業と個人が担っているからです。 一方で、日本企業のように生活保障の観点からの福利厚生は大きくありません。賃金についても、福利厚生についても、「企業が社員の生計費を保障する」という考え方はありません。 もし「家族も増えたし、いまの給与じゃ生活できないな」と思ったら、より高給の職務にチャレンジ(チャンスは社外のほうが多い)するか、より高給で雇ってくれる企業に転職するしかありません。
※この内容は2003年に書かれたものです。

評価のフィードバック
評価者が被評価者に対して、評価結果や評価の根拠を説明すること。一方的な評価結果の通告ではなく、評価結果に対する被評価者からの抗弁の機会も確保することが必要である。日本企業ではフィードバックそのものが行われないか、一方的な評価結果の通告にとどまり、被評価者に抗弁の機会が与えられないケースが多い。
ゲインシェアリング
あくまでも「儲かったときに支給される臨時ボーナス」であり、赤字の場合でも支給される日本企業の賞与とは異なる。
インセンティブ
「あらかじめ契約に定められている変動給」のことであり、これも日本企業の賞与とは異なる。

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