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1章 成果・実力主義は「日本人のやる気」を刺激したか③

クレイア・コンサルティング 2017.6.28

なぜ、日本企業に米国型の人材マネジメントはマッチしなかったか?

ただ、グローバル・スタンダードといわれた「米国型人材マネジメント」にも欠点はあります。仕事にマッチした人間が常に存在していればよいのですが、「同じ仕事をしても人によって出来栄えが異なる」ような成果を測るメカニズムはもっていないのです。

職務給を主体とする米国型人材マネジメントが日本企業に適合しなかった大きな理由は、次の2つが考えられます。

米国型人材マネジメントが日本企業にマッチしなかった原因

①社員の業務範囲や意思決定権限が明確でなかった。
②人材流動性の低さ

①については、本項のはじめで解説したとおりです。

②については、「職務給はもともと仕事主義に基づいており、その仕事に合わない人はそうとわかった時点で、ポストからはずすことが前提になっている」という点を考えなくてはなりません。つまり、人材流動性が高くないと、職務給は機能しえないのです。

ところが、日本企業は、組織全体を対象にしたリストラは行うものの、「仕事と個人のアンマッチのためだけ」を理由に解雇する行動はとれませんでした。なぜならば、日本の労働市場は米国ほどに成熟していないため、仕事にマッチした人を見つけるのも困難ならば、個人が自分にマッチした仕事を見つけるのも難しいからです。

このため、企業も個人も転職に対して防衛的にならざるをえず、どうしても人材マーケットが充実してこなかったのです。

いくら仕事に格付けを行っても、そこに貼り付けられた人は仕事の格に適合した人ではないので、そのままジョブサイズに対して給与を決めると、大変な不公平が生じてしまいます。つまり、優秀であろうが、なかろうが、成果をあげても、あげなくても、“この人がついている職務”で給与が決められてしまうのです。

こうして、職務給を導入した多くの日本企業は、このシステムを使いこなすことができずに、放棄してしまったのです。

職務給決定までの流れ

※この内容は2003年に書かれたものです。

仕事主義
組織の中ではすべき「仕事」があるわけだが、その仕事に対して、遂行することができる「人」を割り振るのが仕事主義。つまり、「先に仕事ありきの考え方」。これに対して組織の中にすでに「人」がいて、その「人」の能力に見合った仕事を割り振るのが「人間主義」。あくまでも、仕事と人間のマッチのさせ方を表現する場合に限定している。
人材マーケット
労働市場と同義語だが、ここでは外部労働市場を意味している。つまり、「人材」という商品が企業という需要家からニーズを受けて、その価値(=賃金)が決まるという考え方。マーケットは透明性をもたなければならないのだが、日本では個人のスペックと対価は不透明で、市場としての性格があまり形成されていない。

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