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先見えぬバブル入社世代 1 ~管理職就けるのは同期の3割~

桐ケ谷 優 2017.3.8

1980年代後半から93年ごろに社会に出た人がバブル入社世代といわれている。当時は都市銀行が毎年400~500人の大卒を採用し、空前の売り手市場となっていた。企業側から「ぜひとも当社に入社してほしい」と手厚く迎えられ、多くの学生が複数の有名企業から内定を獲得し、「自分は企業から選ばれた」との自負をもって社会にデビューを果たした。

しかし、バブル崩壊で多くの企業が経営危機に陥る中、入社直後からリストラや企業再編に直面する。後ろ向きな仕事が多く、都市銀行であれば、しばらくは不良債権処理業務に奔走せざるを得なかった。

後輩社員の採用が抑制され、部下指導の経験も少なく、社内の教育訓練投資が削減される中、十分な教育も受けぬまま20代を過ごした。賃金もベアゼロやボーナスカットが当たり前となり、上司からは「実力の伴わない世代」「頼りない世代」と評された。

職場のIT(情報技術)化、グローバル化、内部統制強化、成果主義人事導入などの波をじかに受けた世代であり、経営改革や組織改革が叫ばれ続けられた時代を経験。「またか」という「しらけ」と、「それでも受け入れざるをえない」という「諦め」を抱き続けてきた。

今、バブル入社世代は40代後半を迎えている。フラット化による管理職ポストの削減や関係会社の統廃合により、同期の3割程度しか管理職ポストに就けず、無役職が大半だ。企業側も「ポストに就けないバブル入社世代の処遇をどうするか」「彼らのモチベーションをどのように維持するか」という課題に頭を抱えている。

ポスト不足の中で「副○○」「○○代理」といった役職を設け、何とか対処しようとしている企業も一部にみられるが、焼け石に水だ。団塊世代の退職により、いびつな人員構成を一時的に解消できた企業はバブル入社世代への対応を見送りしている。

彼らも自分たちがもはや管理職ポストに就けない可能性が高いことはうすうす認識しているが、今から転職して20年以上勤めた大企業を去るだけの自信はない。外にも出られず、とどまっても先が見えない状況で、バブル入社世代は閉塞状況に陥っている。

元の記事は『日経産業新聞 企業力アップ!組織人事マネジメント講座 (全33回連載)』(2014年1月09日~3月27日)に掲載されました。

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桐ケ谷 優(きりがや まさる)

クレイア・コンサルティング株式会社 ディレクター
慶応義塾大学 文学部卒業。

大手人材派遣会社および外資系コンピューターメーカーの人事部門にて、人材開発や人事制度設計に携わる。その後、国内系人事コンサルティング会社を経て現職。
主に人事制度改革を中心にコンサルティングを行う。最近では、企業再編に伴う人事制度改革や組織改革に従事。また、制度設計だけでなく、人事制度導入局面でのコンサルティング経験も豊富に持つ。

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