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女性社員の活躍促す ㊤ ~ロールモデルなく閉塞感~

大熊 朋子 2016.10.2

2013年の世界経済フォーラムにおいて発表された日本の男女平等(ジェンダー・ギャップ)指数は136カ国中105位であった。内訳を見ると「政治ヘの関与」に次いで「経済活動の参加と機会」に関する指数が低く、社会活動への参画場面において明確な男女間の格差が生じている。

日本の労働力人口の減少が懸念される中、社会活動への参画における男女間の格差を解消することが、具体的な緩和策として期待されている。メディアでは連日、女性活用に関する取り組みが盛んに発信されており、政府や企業は職場での女性社員の活躍をゴールに据えて走り始めている。

しかし当事者である女性の意識や働き方はどうか。国の定めたゴールに向かい、単純にまい進できない実態があるのではないか。

「20年までに女子管理職比率を30%に」という目標値とは裏腹に、実際の女性管理職比率はわずか11.1%に留まる。国際的にみて極めて低い水準だ。本格的な女性活用はまだまだこれからであり、今後管理職に任用される女性社員たちの周囲には、ロールモデルとなりうる先達がほとんどいない。ゴールイメージを具体的に描けない中、管理職をめざすべきかどうか判断しかねているのが、女性たちの実情だろう。

また、有業者を対象とした調査によると、30代前半の男性の家事労働時間は1日あたり58分なのに対し、女性の家事労働時間は238分と、その差は依然として大きい。関連法規の改正は進んでいるものの、実態としては、男性の家事育児への参画度合いに著しい変化は見られない。女性社員の職場での活躍度が増したとしても、その分家庭生活で担う役割が著しく減少するとは考えづらい。

このように、生活スタイルや自身の能力・資質が変わらない中で、仕事や役割だけが変わろうとしていることに、女性社員たちは不安を感じている。一方、仕事も家庭生活もうまくコントロールしている女性も存在はしており、メディアで成功モデルとして取り上げられ、注目を集めている。しかし、こうした現象が、かえって一般的な女性社員の中に新たな焦りや閉塞感を生みだしているとも言える。

元の記事は『日経産業新聞 企業力アップ!組織人事マネジメント講座 (全33回連載)』(2014年1月09日~3月27日)に掲載されました。

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大熊 朋子

コンサルタント

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