キーワードで探す

「&」などの記号を含むキーワードで検索した際に検索結果が正しく表示されない場合があります。
その場合は記号に続いて半角スペースを挿入して検索し直してください。

「専門性の活用」「ジョブローテーション」に続き、「フィードバックを通じた成長目標の提示」をバブル入社世代の閉塞状況の打開策として取りあげる。

閉塞状況を招いた原因の1つとして、日本企業の年功的な人事管理の存在をすでに指摘した。新卒採用社員を横並びで一律に処遇し、「一定年齢までは個々の昇進や昇格に差を設けない」仕組み、「強みはほめるが弱みには目をつぶろうとする」甘いマネジメントが、バブル入社世代の成長を停滞させた。

企業は年功的な人事管理を見直しつつ、自社のビジョンや戦略に基づき、期待する人材像を社員に対して明示することが必要だ。

環境変化が激しい中で、期待する人材像は短期で変わる。企業はそれを提示し続ける責務がある。示さぬまま社員を抱え込み、ある日突然「あなたが活躍できる機会はありません」と宣告することは社員に対して不誠実だ。

働く社員も、自社の事業の方向性や人材像を意識しながら、将来に向けた自己研さんを進められる。会社の環境変化に適応することが難しいと自ら判断すれば、次のキャリア選択に向けた行動も起こせる。

すでに40代後半を迎えたバブル入社世代の場合、過去の経験がカベとなり、新しいスキルを吸収するまでに時間を要する可能性もあるが、「求められる人材像と現状」とのギャップを埋めるために自己研さんを継続してもらう必要がある。

新規事業に必要なスキルを積極的に習得する社員や、海外の商習慣や語学を主体的に学ぶ社員が増えれば組織力も向上する。

そのためには、上司の適切なフィードバックがセットで必要だ。すでにベテランに達しているバブル入社世代にも、上司が積極的にフィードバックを実施していくことが必要だ。その機能を補完するために、360度評価や人材アセスメントを活用することも有効だろう。

今後、定年が延びる中、企業もバブル入社世代とどう向き合うか、長期的な構想が求められる。彼らの体力は加齢とともに低下するかもしれないが、経験や学習によって蓄積された能力やスキルを発揮してもらいながら、今後も自己成長の必要性を喚起し続けることが大切となる。

元の記事は『日経産業新聞 企業力アップ!組織人事マネジメント講座 (全33回連載)』(2014年1月09日~3月27日)に掲載されました。

AUTHOR
no image
桐ケ谷 優(きりがや まさる)

クレイア・コンサルティング株式会社 ディレクター
慶応義塾大学 文学部卒業。

大手人材派遣会社および外資系コンピューターメーカーの人事部門にて、人材開発や人事制度設計に携わる。その後、国内系人事コンサルティング会社を経て現職。
主に人事制度改革を中心にコンサルティングを行う。最近では、企業再編に伴う人事制度改革や組織改革に従事。また、制度設計だけでなく、人事制度導入局面でのコンサルティング経験も豊富に持つ。

CONTACT US ご相談・お問い合わせ

03-5439-9108