キーワードで探す

「&」などの記号を含むキーワードで検索した際に検索結果が正しく表示されない場合があります。
その場合は記号に続いて半角スペースを挿入して検索し直してください。

女性社員の活躍促す ㊥ ~多様性、組織作りに活用~

大熊 朋子 2016.10.3

女性のリーダーが輩出されない理由の一つとして、女性のキャリア構築が、リーダーヘの昇進前に断絶しがちな点があげられる。

「寿退社」という言葉は昨今ほとんど耳にしないが、現在も結婚、出産を機に多くの女性社員が離職したり、非正規雇用など時間的な融通の利きやすい職場への転換を図ったりしている。人生設計としてそのようなキャリアプランを持つことはあるだろう。しかし、社内に居場所が見つからないが故の行動だとすれば、企業としても何らかの対策を講じる必要がある。

企業がまず行うべきは、柔軟なキャリア形成が可能な仕組みの構築だ。結婚、育児、介護などは「ライフイベント」と呼ばれるものの、実は中長期にわたって生活への影響を及ぼすことが多い。従って、その時々の支援だけでなく、むしろ法規制で保障されない部分の支援こそが肝となる。

たとえば、在宅勤務制度やフレックスタイム制度の導入によって場所や時間の制約を受けない勤務が可能となれば、社員自身が家庭生活も含めて自分の時間をコントロールしやすくなる。大切なのは、いわゆる時短勤務制度などのように、一部の人だけを対象とせず、全ての社員の働き方を改革するつもりで制度を導入することだ。

多様な働き方をする社員がいて当たり前という風土をつくることができれば、家庭に軸足を置かざるを得ない女性社員を特別視せず、「お互い」を思いやれる良い循環を生み出すことができる。

また、時間だけでなく、社員の気持ちまでセーブさせないよう気を付けたい。そのためには、経験の蓄積などではなく、成果に基づいて評価・処遇を行う仕組みが必要だ。その際、過度に配慮して小さな成果しか期待しないのでは、今後キャリアを継続していこうという本人の意欲や成長機会を奪う可能性がある。本人の能力を適切に見極め、限られた時間でも可能な一定の難易度のミッションを与えることが必要だ。

家庭と仕事の両立に悩む女性社員は多いが、広く多様性が求められる中、そのような悩みを経験した女性社員こそ、新しい組織づくりを主導できるはずだ。負い目を感じることなく、むしろ積極的にその経験を生かすことが期待される。

元の記事は『日経産業新聞 企業力アップ!組織人事マネジメント講座 (全33回連載)』(2014年1月09日~3月27日)に掲載されました。

AUTHOR
no image
大熊 朋子

コンサルタント

CONTACT US ご相談・お問い合わせ

03-5439-9108