キーワードで探す

「&」などの記号を含むキーワードで検索した際に検索結果が正しく表示されない場合があります。
その場合は記号に続いて半角スペースを挿入して検索し直してください。

M&A実行後の人事PMI(人材育成)

解決すべき課題

M&A対象企業の人的資本を的確に把握する難しさ

人的資本の獲得は、M&Aの主要な目的のひとつとされます。

人的資本の獲得がマンパワーの確保、あるいは特定資格保有者の確保などの場合、デューデリジェンスの段階で、人員数や年齢構成、特定資格保有者数などを把握できるため、人的資本の状況を把握することは容易です。

一方、単なるマンパワーの確保ではM&Aの目的が達成できない場合、すなわち「獲得した人的資本に磨きをかける」必要がある場合、デューデリジェンスの段階では把握できない、個々の人材のコンピテンシーの状態を把握し、効果的な人材育成施策を講じていく必要があります。

個々の人材のコンピテンシー状態を把握する材料は、当該企業の人事評価情報になりますが、果たしてその人事評価情報は信頼できるものでしょうか。評価者の評価スキルの問題、年功的な風土の影響、結果主義の評価など、過去の人事評価情報から個々の人材のコンピテンシーを把握することが困難なケースは、日本企業では多々あります。

人材育成によってM&A対象企業の人的資本の充実化を図るための第一歩は、対象企業の個々の人材のコンピテンシーを「的確に」把握することです。

M&A後の組織形態に合った人材育成戦略

合併、子会社化してのグループ経営、持株会社傘下でのグループ経営など、M&A後の企業体のあり方は様々です。M&A後の人材育成戦略は、M&A後の組織形態に合わせて検討する必要があります。合併の場合は「単独企業の人材育成戦略」となりますが、それ以外は「グループ企業体の人材育成戦略」が必要となります。

特に「グループ企業体の人材育成戦略」では、教育プログラムの整備などの具体的施策検討以前に、グループ全体の人材育成を司る機能をどこに置くか、グループ統一と各社別の人材育成体系をどのように整合させるか、グループ全体のタレントマネジメントをどのように行うか、など「グループ企業体としての人材育成のプラットフォームの検討」が必要になります。

人的資本可視化指針において「人材育成」に関する開示推奨項目として「リーダーシップの育成」があります。「リーダーシップの育成」は、M&A効果の最大化にも大きな影響があり、M&A戦略の対象となるグループ企業体として、検討・推進していくことが重要と考えます。

M&A後の人材フロー戦略と人材育成戦略の整合性

M&Aによって、人材フローと人員構成が異なる企業体が統合されます(統合とは、合併だけでなく、グループ会社化も含む)。

例えば、新卒中心の企業体と、経験者採用中心の企業体では、それまでの人材育成体系や育成方法が全く異なります。新卒中心の企業体と経験者採用中心の企業体が統合したときに、誰にどのような育成機会を提供していく必要があるのか、分析と整理が必要です。

また、年齢構成が異なる企業体を統合した場合、一方の企業体は若手・中堅層が厚く、一方の企業体はベテラン・高齢層が厚い、というケースは珍しくありません。一方の企業体で想定される「ベテラン・高齢層の雇用満了」に対して、統合後の組織体としてどのように対応していくべきか(もう一方の企業体の若手・中堅層を再配置するのか、その場合の育成はどのように行うのか、など)検討が必要です。

他方、事業構造転換の一環としてM&Aが行われる場合、縮小対象事業にベテラン・高齢者層の配置を増やして雇用満了とともに事業・業務の縮小を図りつつ、若手・中堅層は新規・拡大事業に集中的に投入していく、という人材フロー戦略が考えられます。このように、「事業構造転換を推進する人材フロー戦略に適合した人材育成戦略」が求められる場合もあります。

課題解消のアプローチとクレイアの付加価値

1.グループ全体の人的資本最適化の観点から、人材戦略の立案を支援

M&Aは、グループ企業体の人的資本ポートフォリオに変化をもたらします。M&Aの効果を最大化するためには、人材育成をM&A対象企業個別の問題として捉えるだけでなく、グループ企業全体の人的資本ポートフォリオの充実化を図る観点から検討することが重要と考えます。

クレイア・コンサルティングは、様々な業種業態におけるM&Aや事業構造改革に関与し、人材育成にとどまらず、組織設計や人材フロー改革などのプロジェクト経験が豊富です。人材育成を「教育プログラムの充実」といった狭い視点でとらえるのではなく、グループ全体の人材ポートフォリオの充実化という観点から、戦略的に進めていくことをご支援します。

2.独自開発のコンピテンシー・アセスメント

リーダーシップなどの「コンピテンシー(能力)」情報は、企業ごとに異なる基準や目線で評価・判定されており、M&A対象企業のコンピテンシー情報が適切であるとは言えません。

クレイア・コンサルティングは、リーダー(管理職)層、中堅層、シニア層など、多様な階層向けのアセスメントツールを有しており、M&A対象企業の人材の能力把握を短期間で行うことができます。一般的に信頼性の高いアセスメントツールとしては、1泊2日のアセスメントセンター方式が主流ですが、クレイア・コンサルティングのアセスメントツールは、最短半日、最長でも1日でアセスメントを完了させることができます。複数の企業同士や、部門同士の比較分析も可能です。

企業統合において、管理職層のマネジメント力の均質化を図ることや、次世代リーダーの発掘を目的としたアセスメントの実績を豊富に有しています。

3.中期人員計画に基づく人材育成計画を立案

M&Aによって異なる人員構成の企業体が統合(またはグループ化)すると、自然退職人数や管理職平均年齢などが変化し、採用計画・管理職登用計画・再雇用計画などの見直しも必要になります。

特に、管理職登用年齢の変化や部門別退職人数のばらつきは、人材育成計画にも影響します。

クレイア・コンサルティングは、M&Aによって、今後10年間の人材フローにどのような変化が生じるかシミュレーションを行い、採用や再配置などの人材フロー戦略と、人材育成戦略の整合性を図りながら、人材育成計画の立案をご支援します。

例えば、M&A対象企業間における管理職登用年齢の格差を埋めていくために、登用年齢の遅い企業における管理職候補者教育を強化する一方で、引き下げられた登用年齢を過ぎている人材への対応策を検討し、管理職の若返りを図ります。

4.タレントマネジメントシステムの効果的な活用を支援

M&A対象企業の人的資本を効果的に活用していくために、タレントマネジメントは有効です。

クレイア・コンサルティングには、多様な業種業態において、多様なタレントマネジメントシステムの活用のアドバイスを行ってきた実績があります。タレントマネジメントシステムを新規に導入する場合には、対象企業の人材状況や人材マネジメント課題の観点からシステム選定のアドバイスを行うことができます。また、既にタレントマネジメントシステムが導入されている場合には、M&Aの効果を最大化するためのタレントマネジメントの活用についてのアドバイスが可能です。

タレントマネジメントシステムを効果的に活用するためには、タレントデータの「質」が最も重要です。質の高いタレントデータを蓄積していくためには、人事評価をはじめとした「人材を見極める組織能力」を高めていく必要があります。クレイア・コンサルティングは、組織・人事コンサルティングの深い知見を活用して、タレントマネジメントシステムの利用価値向上をご支援します。

コンサルティングのイメージ・事例

M&Aの目的と状況を踏まえてご支援します。下記ステップの最初から、あるいは途中からのご支援も可能です。

1.人材育成課題を体系的に分析

M&Aの目的、対象会社の人材の状況、事業戦略などを踏まえて、目指すべき人材状況(人材ポートフォリオなど)と現状のギャップを明らかにします。

人員構成に起因する課題は「10年間の人員シミュレーション」を行い、把握します。

人材の質(コンピテンシーやスキル)に関する課題は、人材アセスメントなどを実施して把握します。また、アセスメントの実施が難しい場合には、過去の人事評価基準や評価結果、および評価運用状況などから、人材の質の課題を具体的に推測することも可能です。

M&Aに関わる複数の企業体の人材育成課題の違いを比較整理し、グループ全体としての人材育成課題を体系的に整理します。

2.中期的な人材育成戦略を立案

M&Aの目的達成に向けて、組織構造や人員配置も段階的に変化していくことが想定されます。また、その間にも採用と退職により人員構成は変化していきます。

人材育成計画は、目先の状況だけにとらわれず、5年~10年程度先を見据えて、組織構造・人員配置・人員構成の変化を踏まえて検討します。

例えば、今後数年間にわたって予測される定年退職・雇用満了者の増加、縮小事業から成長事業への人材シフト、拠点の統廃合などを考慮し、人材の余剰と不足の発生状況を推測しながら、計画的な人材育成と補充ができるような検討を行います。

3.人材育成とタレントマネジメントの仕組みを整備

人材育成の仕組みとして、人材育成体系を整備し、各種プログラムの開発を支援します。グループ会社間の人材再配置を促進するために、グループ共通の人材育成体系を構築することも可能です(例えば、グループ管理職の育成体系、グループ経営管理スタッフの育成体系、など)

人材育成プログラムの開発については、コンセプト定義、プログラム設計要件定義から、プログラムの開発まで対応可能です。また、既存の人材育成プログラムの選択・アレンジなどのアドバイスも可能です。マネジメントクラスの意識改革など、高度なファシリテートが求められるプログラムでは、コンサルタントが講師・ファシリテーターを担当することも可能です。

人材育成戦略の進捗状況をモニタリングしつつ、タレントマネジメントを推進していくための「タレントマネジメントシステム」の活用についても、多様なコンサルティング経験(多様な業種業態で、多様なタレントマネジメントシステムの活用に携わった経験)に基づくアドバイスを行うことが可能です。

4.人材育成戦略の浸透施策(コミュニケーションプラン等)を立案

M&Aの場面では、ほとんどの人材が「受け身」であり、人材育成戦略や人材育成施策についても、前向きに理解・解釈されるとは限りません。

特に、日常的な人材育成の要となる役職者(管理職)が、人材育成の課題や戦略、人材育成施策について適切に理解していなければ、人材育成体系やタレントマネジメントシステムを有効に機能させることは難しくなります。

構築された人材育成体系やタレントマネジメントシステムを有効に機能させていくためのインナーコミュニケーションや、役職者(管理職)の理解浸透施策なども併せて検討し、人材育成投資の実効性を高めていくことをご支援します。

AUTHOR
針生 俊成
針生 俊成 (はりゅう としなり)

クレイア・コンサルティング株式会社 執行役員COO マネージングディレクター
筑波大学第二学群人間学類卒業

トーマツコンサルティング、アーサーアンダーセンを経てクレイア・コンサルティングの立ち上げに参画。
幅広い業種における統合的人事制度改革、コンピテンシー設計、人材アセスメント、人材育成、意識改革、ES(従業員満足度)向上等、多数の人事コンサルティングプロジェクトに従事。合併や分社等の組織再編に伴う人事制度改革、高度専門職の人事制度設計やコンピテンシー設計、ブランドマネジメントと連動した人材マネジメントのコンサルティング等の実績も豊富。

お問い合わせ CONTACT US

M&A人事関するご質問などがございましたら、
お気軽にご相談ください。

TEL.03-5439-9108 お問い合わせ