グループ再編における経営課題とは
望ましい組織の形態は企業経営の様々な 成長ステージにおいて変化しますが、組織再編によって意思決定プロセスの合理化・効率化および迅速化を図るためには、人事制度の再構築もしくは見直しを同時に行う必要があります。
一般的に組織再編は、グループ内での合併、株式交換、会社分割、株式移転等を通して、組織分割や子会社設立等を実行していきます。しかし、それぞれの方法に対して、各社の人事制度をどのように改定していくのかは必要不可欠な検討課題です。
例えば子会社化においても、ある程度の独立性を持って運用し、将来的に株式上場を目指していく場合と、グループ全体の機能子会社としてのシェアードサービスセンターとしての位置づけとしてグループ全体での人事交流(ローテーション)の一部を担う場合とでは、人事制度の位置づけは大きく変わっていきます。
前者であればその会社独自の成長戦略に沿って、独自の人事制度を導入し、特にグループ内でのローテーションは考慮しない形が一般的です。後者であればグループ内の人事交流を見据えて等級制度や報酬制度などはグループ全体としての統一的な基準に則ったものであることが求められます。
グループ全体の構成員に対して「全体最適」と「個別最適」を図る
組織再編は、「組織の編成の組み換え」を意味しますが、ただ単純に組織を組み換えただけではその効果は限定的です。
組織を組み換えた後に、グループとしてどのように価値を発揮していくのかを事前に検討した上で、その価値発揮を実践する社員が望ましい方向に行動するよう、人事制度を通してマネジメントを行っていくことが重要となります。
クレイア・コンサルティングでは、組織再編時の人事制度改革にあたって、組織再編後のビジョンや事業戦略を確認し、事業環境分析、経営陣へのヒアリングなどを行い、新たな組織の事業戦略や特性に合致した人事制度を提案していきます。また、多種多様な人事制度ツール(職務評価、コンピテンシーなど)を活用して、オーダーメイドの人事制度を構築することにより、企業・組織再編実行後の事業を早期に軌道に乗せるように支援します。
その際には、グループ内でのローテーションなどの人的交流を可能にするべく、グループ各社間での人事制度に一定の統一的な枠組みを持たせ、全体最適の観点からの調整も行うことで、部分と全体の双方での最適化を図っていきます。
再編時の各人事制度改定における機能やメリットは、M&A・組織再編、人事デューデリジェンス、M&A人事(M&Aに伴う人事統合)、退職金・年金統合をご参照ください。
クレイア・コンサルティングのグループ再編へのアプローチ
1. グループ全体での再編に関わる人事リスクを精査
グループ再編において発生する人事上のリスクを精査し、そのリスクの軽減・回避策を検討します。
組織再編時の人事制度改定には、通常のM&Aと同様、人件費リスク、法的リスク、モチベーションリスク、運用リスクの4つのリスクが伴います。これらは相互に関連しているため、リスクを全てヘッジしていくことは大変な困難を伴います。
各社が抱えるリスクに関する許容度を見極めながら、それぞれのリスクの要因を一つ一つ検証し、可能な限り軽減していきます。
2. 多様な再編シナリオを構築
クレイア・コンサルティングでは、これまでのM&Aや組織再編における実績をもとに、多様な再編スキームを提案・実行していきます。
組織再編のスキームは、人事的な要因ではなく、むしろガバナンスや財務的な要素で決定される場合が殆どです。しかし、実際に業務を行う一人ひとりが社員である以上、人事的な要因も組織再編のスキームに影響を及ぼすことも十分に考慮しておかなくてはなりません。
組織再編にあたり、個々の人事制度や社員の出向や転籍を含めた異動、それに伴う労働条件の変更や希望退職等人員のアウトフローまで、様々な手法についてそのリスクを勘案した上で、再編スキームのシナリオを複数構築し、比較検討を重ね、最適な再編シナリオを選択していきます。